■ 市場の注目が「指標」から「発言」に移行中
5月24日に発表された日本の消費者物価指数(CPI)は、予想通りの内容でした。サプライズのない結果で、相場の動きは限定的。しかし、為替相場を動かしたのはその後に飛び出した日米要人の発言と米中対話の継続報道です。
今の市場は、「数字よりも言葉が動かす相場」に移行しているとも言えるでしょう。
■ 日本CPI:タカ派への期待感はあるが、相場インパクトは限定的
総合CPI(前年比):3.6%
コアCPI(生鮮除く):3.5%
コアコアCPI:3.0%
インフレ率が高止まりしているとはいえ、日銀の政策転換をすぐに促すほどのインパクトはなし。円買い材料にはなるが、今後の為替を大きく動かすパワーには欠ける印象です。
■ トランプ発言と石破首相:火種は「関税問題」
石破首相はトランプ前大統領との会談について「直接会えるのを楽しみにしている」と発言。関税についての具体的な発言はなかったものの、このやり取りが意味するのは、「今後、再び日米通商問題が市場のテーマになる可能性」です。
リスク要因が再燃すれば、安全資産の円が買われる展開もあり得ます。
■ 米中関係:電話会談でリスク緩和ムードも油断禁物
中国とアメリカの外務次官級会談が実施され、「引き続き意思疎通を行うことで合意」との報道がありました。これは一時的なリスクオン要因としてドル買い材料に。しかし、米中関係の根本的な対立構造が解決したわけではなく、相場の上下を生み出す“火種”としての側面も健在です。
■ ドル円相場の戦略提案
現在のドル円は、材料難+地政学的リスクのせめぎ合いによりレンジ相場を形成中。
【戦略①:逆張りレンジトレード】
節目近くでエントリーし、小さな利確で回転を狙う 高値圏:売り目線 安値圏:買い目線
【戦略②:ニュースベースの順張り】
米中関係にポジティブなヘッドライン→短期でドル買い トランプ氏の通商政策再燃発言→リスクオフで円買い
どちらの戦略も、「ポジションは長く持たないのが鉄則」。突発的なニュースでの逆行リスクが高まっているため、ストップロスを明確に設定することが重要です。
■ 今後の注目イベント
来週の米経済指標(GDP・PCE) 日銀メンバーの発言内容 トランプ氏のSNS投稿(サプライズあり)
相場が動くきっかけは、意外と「たった一言」だったりします。
■ まとめ:市場は“発言依存型相場”に突入中
現在のドル円市場は、ファンダメンタルズよりも「言葉が値を動かす相場」へとシフトしつつあります。
数字は予想通りでも、要人の一言で相場は大きく動く。だからこそ、レンジ内の逆張りとニュースによる短期順張りを使い分ける柔軟性が今のトレーダーに求められています。
大きく動くときに備えつつ、慌てず・焦らず・計画的に。
引用記事
https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/96a2eaac1b45b4d5b35f3e2389d8bc8dc5f2a533