今のドル円相場は正直やりたくない。円安と為替介入の怖さをファクトチェック
現在のドル円相場を見て、正直なところ私はFXをやりたいと思えません。
ドル円は1ドル=162円台まで上昇し、2026年7月上旬には一時162円84銭付近と、1986年以来およそ40年ぶりの円安・ドル高水準を記録しました。
まさに天井知らずのような相場です。
しかし、ここからドル円を買うのが怖い最大の理由は、単に高値だからではありません。
いつ為替介入が入るのか分からないからです。
「介入警戒」は本当なのか?
結論からいうと、介入への警戒感が高まっているのは事実です。
片山さつき財務相は、為替相場について「いつでも適切に対応する」と発言しています。また、政府は急激で一方向的な為替変動や、投機的な動きを問題視する姿勢を繰り返し示しています。
2026年6月末にも、政府は行き過ぎた為替変動に対して断固たる措置を取る可能性を改めて示しました。
そのため、市場参加者も現在の162円前後を、政府・日銀による介入が警戒される水準として見ています。実際、ロイターも現在のドル円市場について、約40年ぶりの円安圏で介入警戒が続いていると報じています。 (Reuters)
すでに2026年にも大規模介入が行われている
さらに怖いのは、介入が単なる脅しではないことです。
日本政府は2026年4月末から5月にかけて、円買い・ドル売り介入を実施しました。
介入額は合計で約11兆7,349億円とされ、過去最大規模です。4月30日にはドル円が160円72銭付近まで上昇した後、介入によって一時155円台まで急落しました。
わずかな時間で5円近く動いたことになります。
仮にドル円を162円で買っていて、同じ規模の下落が起きれば、一気に157円前後まで落ちる可能性もあります。
レバレッジをかけているFXでは、この数円の急落が致命傷になります。 (Reuters)
介入ラインは「163円」と決まっているわけではない
ここは注意が必要です。
「163円になったら介入する」「165円が介入ライン」といった明確な基準を、日本政府が公表しているわけではありません。
財務省は、為替相場がファンダメンタルズから乖離したり、短期間で大きく変動した場合に、相場の安定を目的として介入することがあると説明しています。
つまり政府が見ているのは、ドル円の絶対的な水準だけではありません。
- 短期間で何円上昇したか
- 一方向に円売りが続いているか
- 投機筋による円売りが膨らんでいるか
- 円安が物価や企業経営に与える影響
- 米国など海外当局との調整状況
こうした条件を総合して判断されます。
そのため、162円だから必ず介入するとは限りません。一方で、162円から163円、164円へ急激に上昇すれば、介入が入る可能性は高まります。 (財務省)
なぜ介入しても円安が止まらないのか
2026年4月から5月に過去最大規模の介入を行ったにもかかわらず、ドル円は再び162円台まで戻ってきました。
大きな原因は日米の金利差です。
日本銀行は2026年6月に政策金利を1.0%まで引き上げましたが、米国との金利差は依然として大きく、低金利の円を売って高金利のドルを買う動きが続いています。
さらに中東情勢の緊張や原油価格の上昇、米国の利上げ観測もドル買いを支えています。
為替介入には短期的に円高へ動かす力があります。しかし、日米金利差などの根本的な環境が変わらなければ、時間がたつと再び円安に戻りやすいのです。 (Reuters)
今は「買っても怖い、売っても怖い」相場
現在のドル円は、トレンドだけを見れば上昇しています。
しかし、ここから買うと、突然の介入による数円規模の急落を受ける可能性があります。
一方で、「さすがに高すぎる」と考えて売ると、介入が入らないまま163円、164円、165円へ上昇する可能性も否定できません。
つまり今は、
買っても怖い。売っても怖い。
そんな相場です。
特に「損切りをせず、下がったら買い増す」という取引方法は、介入局面との相性がよくありません。介入が入ると、数十銭ではなく数円単位で一気に下落する可能性があるからです。
FXは無理に参加しなくてもいい
FXでは、毎日取引する必要はありません。
相場が分かりにくいときや、自分のルールではリスクを管理できないと感じるときは、取引しないことも立派な判断です。
現在のドル円相場は、円安トレンドに乗りたい気持ちと、介入への恐怖がぶつかる非常に難しい状況です。
「上がっているから買う」のではなく、介入が入った場合に何円まで耐えられるのか、事前に考える必要があります。
私は今の相場を見て、無理に利益を取りに行くよりも、まずは資金を守りたいと思っています。
取引しなければ利益は出ません。しかし、取引しなければ介入で大きく負けることもありません。
今のドル円相場では、「やらない」という選択肢も十分に合理的だと思います。
※本記事は2026年7月14日時点の情報を基に作成しています。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。