米国株は「情報不足の時代」に入るのか

米証券取引委員会、SECが四半期決算の開示義務を緩和し、企業の判断で半年に1回の開示も可能にする規則案を出しました。企業側から見れば、決算対応にかかる人件費や監査法人への費用を減らせるため、上場コストの削減につながります。新規上場を増やしたいという狙いも理解できます。

しかし、個人投資家目線で見ると、この変更はかなり注意が必要です。なぜなら、企業の情報が出る頻度が減るほど、投資家は企業の変化に気づきにくくなるからです。

悪い情報が見えにくくなるリスク

四半期決算があれば、3カ月ごとに売上、利益率、在庫、キャッシュフロー、今後の見通しを確認できます。ところが半期に1回になると、悪い情報が表に出るまでの時間が長くなります。

もちろん、重大な情報は適時開示されるべきです。完全に隠してよいわけではありません。ただ問題は「まだ重大とは言い切れない悪化」です。売上の鈍化、利益率の低下、在庫の積み上がり、受注減少などは、じわじわ進むことが多いです。

企業側からすれば、「一時的な不調だから次の開示まで様子を見よう」と判断できる余地が広がります。これは投資家にとって、かなり不利です。気づいた時には株価が大きく下がっていた、という展開も増えるかもしれません。

中小型株ほど情報格差に注意

特に注意したいのは中小型株です。大企業は市場の注目度が高く、投資家との関係を考えて自主的に四半期開示を続ける可能性があります。

一方で、中小型株はアナリストのカバーも少なく、ニュースも限られます。そこで開示まで減れば、個人投資家はかなり少ない情報で判断することになります。

つまり、半期開示への変更は、企業側にはコスト削減メリットがありますが、個人投資家には「見えないリスク」が増える可能性があります。

ロングゲーム投資家は「開示姿勢」を見る

だからこそ、これからの米国株投資では「業績」だけでなく「開示姿勢」を見ることが大切です。制度上は半期開示でよくなっても、自主的に丁寧な情報発信を続ける企業は、株主を大切にしている可能性があります。

逆に、すぐに開示を減らす企業には、「何を見られたくないのか」と疑う視点も必要です。

ロングゲーム投資では、良い時だけ強い企業より、悪い時も正直に説明できる企業を選びたい。情報が少ない時代ほど、投資家側の見る力が試されます。