定年後も賃金が下がらない時代へ。ロングゲームで見る日立の再雇用制度
日立が定年後の再雇用社員にも、現役社員と同じように「職務」に応じた報酬制度を導入しました。
これまで多くの会社では、60歳を超えると仕事内容が大きく変わらなくても、給料だけ下がるのが当たり前でした。働く側からすると、同じように責任を持って働いているのに、年齢だけで評価が変わるのはかなり苦しい話です。
ただ、日立の新制度はそこを変えようとしています。
60歳を過ぎても、同じ仕事を担うなら賃金水準を維持する。これはシニアを甘やかす制度ではなく、「年齢」ではなく「役割」と「価値」で評価する仕組みです。
ここに、ロングゲームの考え方があると思います。
短期的に見れば、企業にとって人件費は増えます。再雇用者の給料を維持すれば、コストは重くなるでしょう。
でも長期的に見れば、経験ある人材の知識や判断力を活かせることは大きな武器になります。特に現場では、マニュアルに書けない勘所や、トラブル時の対応力があります。これは一朝一夕では身につきません。
つまり日立は、シニア社員を「コスト」ではなく、「未来の戦力」として見ているのだと思います。
一方で、働く側にも厳しさがあります。定年後も給料が維持されるから安心、という話ではありません。職務に見合う力がなければ、降給や降格もあり得ます。
つまり、長く働き続けるには、長く価値を出し続ける必要があるということです。
これは僕たち会社員にも関係があります。
今の仕事をただこなすだけではなく、自分の経験を言語化する。後輩に教えられるようにする。資格を取り、学び続ける。そうした積み上げが、10年後、20年後の自分を守る力になります。
ロングゲームとは、目先の給料だけを見ることではありません。
将来も必要とされる自分を作ることです。
日立の制度は、これからの会社員に問いかけています。
年齢を重ねた時、自分は会社にとってどんな価値を出せるのか。
定年後も選ばれる人になるために、今から小さく積み上げていく。その姿勢こそ、働く人生におけるロングゲームなのだと思います。