8月7日のニューヨーク外国為替市場では、ドル円が大きく動きました。

きっかけとなったのは、アメリカの7月雇用統計です。

発表前には1ドル=158円30銭台だったドル円が、雇用統計の発表直後に一気に156円60銭台まで下落。

わずか数分で約1円60銭も円高・ドル安が進みました。

ところが、その後は円高の勢いが続きません。

再び157円台半ばまで戻しており、今回の値動きからは「ドルが弱くなっても、円がなかなか強くならない」という現在の為替市場の特徴が見えてきます。

米雇用統計がまさかのマイナス

今回、市場に大きな衝撃を与えたのが7月の米雇用統計です。

非農業部門の雇用者数は前月比で、

2万3,000人減少

となりました。

市場予想は「8万人増」だったため、予想を10万人以上も下回る大きなネガティブサプライズです。

雇用統計はアメリカ経済の強さを判断する重要な指標です。

これまで市場では、インフレ圧力の強さなどから「FRBが再び利上げするのでは?」という見方が強まっていました。

しかし雇用が弱くなれば、FRBとしても簡単には金利を上げられません。

そのため、

雇用統計悪化→ FRBの追加利上げ期待が後退→ 米金利上昇期待も後退→ ドルを買う理由が弱くなる→ ドル売り・円買い

という流れが一気に発生しました。

9月利上げ予想も大きく後退

雇用統計を受けて、市場のFRBに対する見方も変化しています。

フェドウオッチでは、9月の利上げ予想が前日の55%から43%へ低下しました。

反対に「9月は金利を据え置く」という予想が優勢になっています。

さらに年末までに2回以上の利上げを予想する割合も43%から32%へ低下。

一方で「年内利上げなし」の予想は16%から23%まで上昇しました。

つまり今回の雇用統計によって、

「FRBはまだまだ利上げする」

というシナリオが少し崩れたわけです。

それなのになぜ157円台まで戻ったのか?

個人的に今回もっとも気になったのがここです。

ドルが幅広い通貨に対して売られているにもかかわらず、円は156円台を維持できませんでした。

一時156円60銭台まで円高になったものの、その後157円台半ばまで押し戻されています。

これは単純な「ドル高」というより、

円そのものの弱さ

を表している可能性があります。

実際、ドルの総合的な強さを示すドル指数は6月半ば以来の低水準です。

つまり世界的にはドルが弱くなっている。

それでもドル円は157円台です。

これはかなり興味深い状況だと思います。

雇用統計は本当にそこまで悪かったのか?

ただし、今回の「2万3,000人減」という数字については注意も必要です。

雇用者数を大きく押し下げたのが「地方政府の教育部門」で、5万人減少しています。

夏場特有の季節調整によって数字が悪く出た可能性も指摘されています。

そのため、

「アメリカの雇用市場が一気に崩れた」

と判断するのはまだ早そうです。

今後の雇用統計やインフレ指標などを確認する必要があります。

サラリーマン投資家が今回の相場から学べること

今回のドル円の動きを見て、改めて感じるのが、

重要指標の直前に大きなポジションを持つ怖さです。

158円30銭台から156円60銭台まで、ほんの数分で約1円60銭動きました。

FXではレバレッジをかけられるため、こうした値動きをまともに受けると大きな損失につながる可能性があります。

特に最近のドル円は、米国の金利政策だけでなく、日米当局の為替政策や介入への警戒も必要です。

「円安だからドルを買っておけばいい」

という単純な相場ではなくなってきています。

一方で長期投資の視点なら、為替が大きく動いたからといってNISAなどの積立投資まで慌てて変更する必要はないでしょう。

FXのような短期投資と、NISAなどの長期資産形成は分けて考えることが大切です。

まとめ:ドルが弱いのに円も弱い

今回の米雇用統計をまとめると、

  • 米雇用者数は予想の8万人増に対して2万3,000人減
  • ドル円は158円30銭台から156円60銭台まで急落
  • FRBの9月利上げ予想は55%から43%へ低下
  • それでも円高は続かず157円台半ばまで戻した
  • 世界的にはドルが弱いにもかかわらず円も弱い
  • 雇用減には季節調整の影響が含まれている可能性がある

という状況です。

今回の雇用統計だけを見ると、ドル円がさらに円高方向へ進んでもおかしくありませんでした。

それでも157円台まで戻ったところを見ると、現在の円の弱さはかなり根深いように感じます。

ただし、これは逆に考えると怖いところでもあります。

今後さらに米景気の悪化が確認され、FRBの利上げ観測が完全に後退すれば、これまで積み上がってきたドル買いポジションが一気に巻き戻される可能性があります。

「円安が続いているから、これからも円安」と決めつけない。

今回の雇用統計ショックは、そんな当たり前だけど大切なことを改めて教えてくれた相場だったと思います。