子どもが突然熱を出した。

咳が止まらない。

転んで頭をぶつけた。

子育てをしていると、「これ、病院に連れて行ったほうがいいかな?」と迷う場面って結構ありますよね。

そんなときに非常にありがたいのが、自治体による子どもの医療費助成制度です。

僕自身、子育てをしている立場からすると、

「子どもの医療費がほとんどかからない」

という安心感はかなり大きいです。

ところが今回、ちょっと気になるニュースがありました。

日本経済新聞と日経メディカルオンラインの共同調査によると、小児医療費の助成について、医師の52%が何らかの見直しを求めているというのです。

「えっ、子どもの医療費無料がなくなるの?」

子育て世代としては気になります。

そこで今回は、この問題についてニュースの内容だけでなく、公的データや研究も確認しながら考えてみたいと思います。

医師の52%が「見直したほうがいい」

今回の調査で医師に小児医療費助成について聞いたところ、

・無償化をなくし、少額の自己負担を求めるべき:33%
・所得制限を設けるべき:11%
・本来の自己負担割合を支払うべき:8%

となりました。

合計すると52%

半数を超える医師が現在の制度について、何らかの見直しが必要だと考えていることになります。

一方、

「現在の小児医療費助成を維持すべき」

という医師も29%いました。

つまり、

「医師はみんな無償化に反対している」

という話ではありません。

ここは記事を読むうえで結構重要なポイントだと思います。

そもそも子どもの医療費助成は国の一律制度ではない

ここも僕は今回改めて知ったのですが、子どもの医療費助成は全国一律で同じ内容ではありません。

自治体によって、

「何歳まで対象なのか」

「所得制限があるのか」

「窓口負担があるのか」

などが違います。

こども家庭庁の2025年度調査によると、すべての都道府県・市区町村が子どもの医療費助成を実施しています。

そして市区町村では、通院・入院ともに18歳年度末までを対象とする自治体が最も多くなっています。

子育て支援策として、かなり広く定着している制度なんですよね。

なぜ医師から「少額負担」を求める声が出ているのか

理由の一つとして考えられるのが、

無料になることで受診のハードルが下がりすぎる可能性

です。

もちろん、

「子どもの様子がおかしい」

と思ったら病院へ行くことは大切です。

一方で、自己負担が完全にゼロなら、

「とりあえず病院へ行っておこう」

という受診も増えやすくなります。

利用する側からすれば医療費はゼロでも、当然ながら医療そのものが無料になったわけではありません。

医師、看護師、薬、検査、病院設備などにはお金がかかっています。

僕たちが窓口で払っていない部分を、税金などを通じて社会全体で負担しているわけです。

だから医療費が増え続けるなか、

「本当に自己負担ゼロが最適なのか?」

という議論が出てくるのは理解できます。

でも子育て世代としては「無料だから安心」という部分も大きい

一方で、僕は子育てをしている側として、

単純に有料化すればいいとも思いません。

特に小さい子どもって、自分で症状を正確に説明できません。

「なんとなく元気がない」

「いつもより泣いている」

「熱が急に上がった」

これだけでも親としては心配になります。

仮に1回1,000円、2,000円と負担するようになれば、

「もう少し様子を見ようかな……」

となる家庭も出てくるでしょう。

結果として必要な受診まで遅れてしまう可能性があります。

実際、一部負担は経済的に困窮している人にとって受診のハードルになり得ることも指摘されています。

だからこそ、

「不要な受診を減らす」ことと「必要な受診を妨げない」ことのバランス

がものすごく重要だと思います。

実は「親への効果」もある

そして今回調べていて面白かったのが、2026年7月にRIETIから発表された研究です。

青森県のデータを分析したところ、子どもの医療費無償化によって、

「子どもの健康状態が大きく改善した」

「医療アクセスが明確に改善した」

という有意な効果は確認できなかったそうです。

ここだけ読むと、

「じゃあ無償化する意味ないじゃん!」

と思ってしまいます。

ところが、別の効果がありました。

親のストレスや心理的負担が軽減していたのです。

これは子育て世代としてかなり分かる気がします。

子どもが体調を崩したとき、

「病院に行くべきか」

だけではなく、

「今月また医療費がかかる……」

まで考えなければならないのは結構なストレスです。

その心配をせず、

「気になるなら診てもらおう」

と思えること自体に価値がある。

医療費助成は単純な医療政策ではなく、子育て支援策としての意味もあるということなんでしょう。

僕なら「完全撤廃」より少額負担を考える

では、この制度をどうしたらいいのか。

これは難しい問題ですが、個人的には、

いきなり無償化を廃止する必要はない

と思っています。

もし医療費を抑える必要があるなら、

「1回数百円程度の負担」

「月額負担の上限を設定する」

「低所得世帯はこれまで通り無料」

「慢性疾患など継続的な治療が必要な子どもには配慮する」

といった方法も考えられると思います。

数百円でも負担があれば、

「念のため薬だけもらっておこう」

という受診を多少抑えられる可能性があります。

その一方で、本当に子どもの体調が悪ければ数百円なら受診する家庭も多いでしょう。

ただし、ここは慎重に制度設計する必要があります。

数百円であっても負担が積み重なれば大きくなる家庭もありますし、「少額負担なら必ず不要受診だけが減る」とも限りません。

本当に考えなければいけないのは医療費全体かもしれない

そして今回の記事でもう一つ興味深かったのが、医師の関心が小児医療費だけに向いているわけではないことです。

調査では、

「費用対効果が低い治療は保険適用すべきではない」

と回答した医師が46%。

さらに、

「一部の高額医療の保険適用に年齢制限を設けるべき」

という回答も21%ありました。

医療技術の進歩によって、これまで治療できなかった病気を治療できるようになってきました。

これは素晴らしいことです。

しかし一方で、1回の治療に数千万円、場合によっては億単位のお金が必要になる医薬品も登場しています。

限られた社会保障費をどこに使うのか。

これはこれからの日本にとって、かなり大きなテーマになると思います。

子育て世代として「無料だから当然」と思わないことも大切

僕自身、子どもの医療費助成にはかなり助けられています。

だから、

「子どもの医療費無料をなくしましょう!」

とは全く思いません。

むしろ小さい子どもを安心して病院へ連れていける環境は、これからも残してほしいです。

ただ今回の記事を読んで、

無料だからといって医療そのものが無料なわけではない

という当たり前のことも改めて考えさせられました。

僕たちが窓口で払っていないだけで、その裏側では社会全体が負担しています。

だから、

「無料を維持するか」

「有料にするか」

という二択ではなく、

必要な子どもが安心して医療を受けられる環境を残しながら、どう医療費を持続可能にするのか。

ここを考える必要があるのではないでしょうか。

子育て世代としては、

「無料がなくなったら困る!」

で終わらせるのではなく、

「この制度を子どもたちの世代まで残すにはどうすればいいのか?」

という視点も持っておきたいですね。

僕としては、完全撤廃よりも、必要な家庭への支援を残しつつ制度を持続可能にする方向で議論してほしいと思っています。